Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Faculty of Medicine, Academic Assembly, University of Toyama
教授就任に際しての御挨拶
富山大学学術研究部医学系歯科口腔外科学講座
教授 山田慎一
この度は、私どもの講座のホームページをご訪問いただき、ありがとうございます。
私は、野口 誠前教授の後任として、令和6年6月1日付けで、第4代教授として教室を主宰させていただくこととなりましたので、この場をお借りして一言御挨拶申し上げさせていただきます。
母校である長崎大学より異動した信州大学から本学に赴任させていただき、早いもので2年が経ちました。実は、初めて富山の地を訪れたのは、古田勲名誉教授が2003年に主催されました第48回日本口腔外科学会総会に参加し発表したときでした。発表を済ませて、富山地鉄に乗り、立山の室堂まで行ったことは良い思い出となり、立山の絶景はずっと心に残っておりました。しかしながら、約20年後に富山に住むこととなるとは思いもいたしませんでした。また、富山の地は、私が卒後、入局させていただいた長崎大学歯学部口腔外科学第一講座の水野明夫名誉教授の出身地でもあり、非常に御縁を感じております。このような富山の地で、偉大な野口誠先生の後任を務めさせていただくこととなり、大変光栄に感じるとともに、責任の重大さに身が引き締まる思いです。
私が目指す教室運営について所信を述べさせていただきます。私の座右の銘は故大平正芳首相の「寛容と忍耐」です。この「寛容と忍耐」の精神で、これまで大学人として、教育、研究、臨床を行ってまいりました。今後は教授職として、講座運営に関しても基本はこの精神で、苦しいときも医局員一丸となって、困難に立ち向かってまいりたいと考えております。講座運営に関しては基本的な方針として、
①口腔と全身との関連、口腔機能の重要性を理解させる医学教育の展開
②健康寿命の延伸に寄与する歯科口腔外科医療の科学的根拠を下支えする研究の展開
③高い医療安全のレベルのもと他科と協働して安心安全で正確な口腔機能の維持・回復を目指した医療の提供
④社会のニーズに柔軟に対応したバランスのとれた持続発展が可能な講座 を掲げさせていただきます。
私どもの講座は医学教育機関に属しており、富山県唯一の大学病院の歯科口腔外科でも
あります。大学の歯科口腔外科学講座として、大学病院の歯科口腔外科として、富山県における「歯科医療の情報の発信源」、「地域医療の最後の砦」として、富山大学の内外から求められる責務を果たしてまいりたいと考えております。
臨床では、私の専門は口腔腫瘍ですが、診療の継続性を大切にし、口唇口蓋裂、顎変形症、顎顔面インプラント、有病者歯科治療などについても、科学的根拠に基づいて治療を行い発展させていきたいと考えております。また、他科との密接な連携のもと、高い医療安全レベルを維持し、咬合、嚥下などの機能の回復を目指して精確な医療を行うとともに、患者さんのこころに寄り添った治療を行ってまいりたいと考えております。
研究に関しては、私はこれまで口腔癌、歯科インプラント、薬剤関連顎骨壊死、周術期口腔機能管理などの有病者歯科医療、口腔と全身との関連など幅広く研究を行ってまいりました。今後は、これまでの研究をもとに、「健康余命の延伸に寄与する」ことを目標に、高齢口腔癌患者の低侵襲な治療法の開発、口腔癌の免疫学的解析、口腔機能・口腔細菌と全身との関連などの研究を、多機関共同研究などにより、さらに発展させてまいりたいと考えております。
最後に教育については、医師をはじめとする多職種に口腔の重要性を理解していただくことは健康寿命の延伸に寄与することに繋がることですし、地域の方々に口腔癌や口腔ケアなどの歯科医療について啓蒙活動を行うことも大切な責務であると考えております。また、今後の富山県における歯科口腔外科医療を支える人材を育成していくことも、講座に課せられた重要な使命であり、働き方改革やワークライフバランスを考慮しながらも、地域の歯科医療の中心を担える人材を多く育ててまいりたいと思います。特に研修歯科医の教育にも力をいれてまいりたいと考えております。富山県唯一の大学病院歯科口腔外科ですので、周術期口腔機能管理や一般歯科治療から口腔癌、口唇口蓋裂、顎変形症など様々な疾患を経験でき、また、麻酔、救急、内科研修などの医科研修も含まれており、特色ある研修プログラムとなっています。歯科医師としてのスタートを切り、生涯のベースを築くのには絶好の環境だと思います。研修医に限らず、研修の門戸は広く開放しておりますので、私たちの講座に少しでも関心を持っていただき、おいでいただければと思います。
今後の富山大学歯科口腔外科学講座の更なる発展のためにも、みなさまの御支援、御協力を宜しくお願い申し上げます。
山田 慎一(やまだ しんいち) 1974年8月24日生まれ
本籍地:岡山県
略歴
2000年3月 長崎大学歯学部卒業
2000年4月 長崎大学大学院 歯学研究科 口腔顎顔面外科学専攻 入学
2004年3月 同上修了 学位取得 博士 (歯学)
2004年4月 長崎大学医学部・歯学部附属病院 第一口腔外科 助手
2004年12月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔顎顔面病態外科制御学分野 助手
2007年4月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔顎顔面病態外科制御学分野 助教
2009年7月 長崎大学病院 口・顎の外科室 講師
2011年9月 カロリンスカ研究所 分子細胞生物学講座
2015年4月 信州大学医学部附属病院 特殊歯科・口腔外科 准教授
2022年2月 富山大学学術研究部医学系 歯科口腔外科学(総合口腔科学)講座 准教授
2024年6月 富山大学学術研究部医学系 歯科口腔外科学(総合口腔科学)講座 教授
現在に至る。
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